「サウナ」…それは私にとって地獄のようなアツアツの部屋であります。
私のサウナ最長記録は4分です。
サウナ時計なるものがありますよね。あれって12分で一周するんだとか。
以前そのことを知らず、普通の時計だと思っていた私は、0のところから4のところに進むまで耐えました。20分も耐えた、そう本気で思っていたのですが、たった4分しか耐えられなかったその事実を知り驚愕したものです。
サウナの中は時が進むのが遅いと思います。
1分もすれば息が苦しくなり、3分立てば死を感じます。
私にとってサウナは苦行でしかないということがお分かりいただけたと思います。
令和4年2月6日20時。1人でふらっとお風呂屋さんに来た私はサウナの前で友人のある言葉を思い出します。
「限界まで入ってみ、トブぞ。」
トブ…とは何なのでしょうか。その感覚に興味を覚えました。
また、昨年の流行語「ととのう」も同時に思い出しました。サウナ、水風呂、休憩を繰り返すことで、心身ともに「ととのう」のだとか…。
トブ、ととのう、その感覚が知りたくなり、サウナという名の地獄に足を踏み入れたのです。
そこには猛者たちがいました。
アツアツの床で横になって寝ている貫禄のある御夫人や、なぜか立ったまま仁王立ちをしている、さながら武蔵坊弁慶のようなお姉様がおりました。
明らかな場違い、アウェー感。
サウナレベル1の私は、じっと身を潜め、耐えるほかありません。
時刻は20時9分。テレビがついている。
CMが長い…!しかし、CMが終わればきっと面白いバラエティが待っているはず…!
そしてCM明け。待っていたのはなんとスキージャンプの実況…
好きな人にはごめんなさい、私が今待っていた番組では無かったのです。笑って苦しい呼吸を誤魔化せる番組を待っていたのです。
私はテレビではなく、時計を見つめることしか出来なくなりました。
そんなことを考えているうちに、時刻は20時13分。気づけば4分経ち、なんと、最長記録に並んだではありませんか。
あと1分でも超えられたら、前の私を超えられる。
謎のチャレンジャー精神が目を覚まします。
しかし、私はすでに死を感じ、三途の川が見えていました。
なぜ人はこんな思いをしてまで、トビたいのか、ととのいたいのか。人は、何かに耐えぬいたその先に素晴らしいものが待っているということを知っているのだろうか。ならやって見せようじゃないか。
20時15分。
最長記録を2分も更新し、限界を迎えた私は地獄から飛び出した。
私は何かを乗り越えたような気がしました。
前より2分も多い6分も耐えることができたのです。
少しの挑戦でおおきな達成感を得られるのが私の単純でいいところだと思います。
でも、まだトブには早かったようです。まだ、限界を迎えていないということでしょうか。
もし次またふらっとお風呂屋さんに来ることがあったら、またチャレンジしたい。そう思いました。
サウナレベルが2に上がりました。