ふと、私が小学校3年生くらいのときに、クラスに金髪の女の子がいたのを思い出しました。
くるくるの金髪と、ピアスをつけていた姿がぼんやり頭の中にあります。
その子と自分たちは「違う」という感覚が子どもたちにはあったのか、その子はよく泣いていたような気がします。
鉄棒を一緒にやったことがあります。
なぜか低い鉄棒を跨いで、「挟めたー!」とか言ってました。「これやるとお股が痛いね笑」なんて言ってました。ただの小学生の、あほな会話です。
当時はそんなこと思ってなかったですが、違うことなんてなく、きっと私と同じあほな小学生だったんです。
ある日、その子が日本から外国に行くと聞きました。
その子のお家に私の住所を書いたお手紙を持って、「えあめーるしてね」と言いました。
奥からお母さんが出てきました。お母さんは布で全身を煽っていて、目しか見えてませんでした。お母さんは日本語が話せなかったので、何か話してくれましたが、わかりませんでした。
帰るとき、ふとその子がよく泣いていたのを思い出しました。「日本では楽しかったかな」と一緒に行った友達と話しました。
えあめーるは来ませんでした。
泣いていたその子を知ってたのに、助けようとしたことがなかった。みんなはその子をいじめたらいけないって、わからないから仕方ないんだと思ってた。
見ていた私も、「みんな」と一緒だった。
お母さんがあのときなんて言ったのか。
こんなことを思う自分が恥ずかしいけれど、少し怖い。
日本で過ごした日々が楽しいものになっていてほしいと思っても、もう、金髪のピアスのあの子が、どこかで、どうか幸せでと、願うことしかできません。
今になって襲ってくる後悔が、その子のことだけでなく、たくさんあります。
誰かを悲しい気持ちにしたり、傷つけたりしたことがあるくせに、「一人も見捨ててはいけない」ことを、今の子供達に伝えることしか、もうできない。